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Smells like a orange linden.

だって、ジャケットが素晴らしいんだもの。

昼間なのに暗い室内が、夜を思わせる妖しげな雰囲気をまだ引きずっているのに。
その入り口なんだか出口なんだかに、佇む彼女の、妙にかっちりした、清楚な後ろ姿が、甘い。
綺麗に束ねられたその後ろ髪を、もう一度ほどいてほしい、って、聴こえる。

後ろ姿に注がれる視線は雄弁だ。
ただ、見つめられているひとにだけは決して聴こえない、完璧な静寂のメロディ。
これだからひとの後ろ姿ってだいすきだ。
私にも聴かせて、奏でさせて、そのメロディ。

Invented/Jimmy Eat World
invented.jpg
思った以上に優しかった。
ずっと思ってたより、もっと、優しかった。

―――Jimmy Eat World
私的な運命を感じるワード『Eat』が名前に在るというだけで結構気にはなっていたんだ。
ただ、1曲しか知らなくて、「もっとちゃんと知りたいなぁ、でもなぁ…」と、まさしく喰えない状態になってた。

そんなときに運良く舞い込んできた1枚。
《いつもありがとう。
 ジメジメしつつも陽気だったハイスクール時代から。
 君が居ないとここまでの(現状でさえ大したことはないけど…)音楽体験も無かったと素直に思うよ。
 …と、彼が絶対にここを見ないと確信して書いてみる。
 慣れないことするとなんか呪われそうだw
 しかし私が何故あんなにも彼からMGMTのあのアルバムを貰いたがったのかは言えまい。
 …いや、言うまい。もう貰ったし!w》



誤解することってよくあるよね。

と言っても、私が今言いたいのは、「裏切られた!!」等という類いの、烈しい誤解ではなく。
柔らかな誤解。
まるでずっと前から当たり前に知っていたはずのことをいきなり思い出したかのような、とても柔らかな誤解。
「あ、そうだったね。君って、そうだったよね。」
静かに芽吹く柔らかな誤解だ。



あなたも今朝の路面の様子を知らないでしょう?
今朝は、昨晩たっぷり降った雨と、凛とした朝の日射しが、アスファルトをまるでアクリル絵の具が零れたかのように眩しくさせていて。
まるで特別な日の朝のようだったんだよ!

今日はこのアルバムを聴きながら仕事に向かった。
長い坂道を登り始める頃、丁度”Cut”が流れてきたんだ。
底で脈を打つようなリズムが心地よくて、それに合わせて足を運んだ。

街路樹が並ぶ坂道。
私は上へ上へ。
こんな素敵な朝に、間違っても滑ってコケたりしないように、足の指一本一本、グッと握りしめるように、スニーカーの中、密かに力をこめて、微かに緊張しながら歩いてる。

すると彼女が坂の上から歩いてくるのが見えた。
仕事へ行く日はいつも擦れ違うあの子だ。
市内の高校のブレザーを綺麗に着こなして、伏し目がちに一歩一歩こちらに近づいてくる。
この半年、何回この朝の静かな対面を繰り返したか解らない。
でも今朝は、本当に、息を呑んだんだよ。

「なんて美しい子なんだろう」って、本気でそう思った。半年かかって思い出したように。

わけのわからない感動で目頭が熱くなって、顔が紅潮してくるのが自分でも解る。
擦れ違うその瞬間に、耳に更に深くイヤホンを押し込んで、精一杯の照れ隠し。
あー。気持ち悪いって思われてたらどうしよう。と、思いながらも自然にステップが軽くなる。

30秒は経ったかな?

それくらいの時間をおいて、後ろを振り返ってみた。
今なら後ろ姿が見られると思って。
彼女が何かの弾みでこちらを振り向かないことを祈りながら、少しだけだと言い訳しながら。
すると彼女は…



居ない。
…有り得ない。
私はまだ坂道を登りきっていないし、彼女がいつも、もしあの足音に効果音を付けられるならまさしく「とぼとぼ」なリズムで歩いているのを私は、私だけは知ってる。
だからこんなに早く見失うなんて絶対に彼女のスピードじゃない。有り得ない。

でも何度振り返っても彼女は見当たらない。

不思議な気持ちになって、思わずしばらく立ち尽くす。
私の指は、急いでアルバム最後の曲、"Mixtape"を探す。

多分"Cut"のようなゆっくりとしたリズムが欲しかったから。妙に高揚したこの気持ちを落ち着かせたかったんだ。
私はまたひとつ思い出してしまったから。
私も彼女も、毎日同じで居られないということに。

出会うタイミングとか、今日の天気とか、歩くスピードじゃなくて。

毎日、私たちはまるで違っていて、でも、ここで何度も擦れ違えていたんだ。

全く見えもしない彼女の後ろ姿に、いつまでもこのメロディを流していたい。
もっと、ここにこうして居たい。

でも、私は、向き直して、また坂を登り始める。
全く嫌になりそうなくらい、今は全部がくっきり見える。



できるなら、私のこの目で、君の後ろ姿を君に見て欲しいよ。



前からそう思ってたんだ。
思ってたんだけど。
思ってたより、やっぱり、君はずっと綺麗だよ。

芽吹いた柔らかな誤解は、可愛らしい小さな淡黄色の花をつける。
学校のような場所に、仕事のような時間に。
君はどうしても行かなきゃならないみたいだ。だからせめて…
綺麗に束ね上げられたその髪に、そっとこの花をさしてあげたい。

お風呂上がり。
入浴剤の菩提樹の香りがするから、ついそんな洒落たことまで考えちゃった。
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ま★

Author:ま★
こんにちは。
ようこそおいでくださいました。

頭の中はとても愉快なやつです。
見た目はとっても冴えないですが。

更新は気まぐれになりそうですが、できるだけ頑張ります。

パーティーの招待状には、終わりの時間を書かないそうです。

しかしこのパーティーの本当に怖いのは、そもそも終わりの時間は永久に訪れそうにないこと。

ごゆっくり。

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