FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

1:DAY

「地球って光ってないだろー??」
「地球見たことないけど。」
「地面見てよ。眩しくないやない。」
「まぁ。そうですな。」
「そこでさ、似たようなのがありますよね?」
「似たようなの?」
「光ってないけど、空に浮かぶ丸っこいやつ。」
「そうさな…」
「風船ですよ。」
「早いよ。もう少し考えさせろ。」
「いいかいワトソンくん。人間とは考える阿呆だ。」
「…もういいよ…」
「わー!!うそうそ。ちょっと聞いてよ。」



彼女が言うには、どうやらここは、地球という風船の上らしいのだ。
彼女の提案するアイディアはいつも奇抜で大胆さが過ぎる。現実味はまるで無い。
ただ、僕には彼女のアイディアを無視できない理由がひとつだけある。
僕は彼女の話がすきなんだ。まぁ、三度のごはん程度には。

彼女にとっては、光ってないものは星じゃないそうだ。
地球はそれに含まれる。
彼女のルールに従うと、太陽も月も星も(光るから)星だけど、地球は(光らないから)風船だという。
でも僕はそのルールに反抗する。つまり彼女に反論を述べる。
僕は高校の地学の授業で先生に教わったことを、先生が僕に教えたときよりも、100倍くらい易しい言葉を使ってゆっくりと説明する(反論するだけでも彼女はそわそわしだす上に、こうしないとすぐ物を投げつけてくるからだ。週刊少年ジャンプとか)。

「風船の中は空っぽやろ?でもね、地球は違う。真ん中にすんげぇ重いのが詰まってて、それは“核”っていって、その周りを“マントル”という層が…あ、この“マントル”っていうのは………」
「チッチッチッ…」
彼女は得意げ腕を胸の前で組み、「君が甘いのはそこなのだよ。」と言う。
「でもこの意見には、知識に基づいた論拠がある!」僕は彼女に合わせて小芝居を打ってやる。
「全ての証拠のツジツマが合う。そこが逆に、アヤシイのだ。」
これは昨夜のドラマの台詞だ(彼女のお気に入りのアイドルが脇役として出演している)。

ここまでくれば、彼女は勝手に喋りだす。
「皆、目に見えるものだけに躍らされすぎている…」と呟きながら、大いなる風船、“地球”の神秘を語る。
ここで、彼女の話を聞きながら僕がとったメモをお見せしよう。
僕は僕で、今読んでいる本の影響で、メモをとることに熱心なのだ。

 ●地球=風船(光ってないから)
 ●地球が星だと思っているヤツらは騙されてる(何故なら星は光る)
 ●神は風船を膨らませるのに7日かかった
 ●そこに勝手に生命が栄えた(神、想定外)
 ●それをコントロールするために、神がヒトに塔を造らせた(塔は上に伸びているわけではない、風船から垂れているヒモ)
 ●神が特に気に入っているヒモはエッフェル塔(だからパリは華の都)
 ●ピラミッドは掴みにくい(だからエジプトは砂漠、神ひどい)
 ●スカイツリーの可能性は未知数(頑張れTOKYO!)
 ●駅前のカフェにスカイツリーという特大パフェの新メニューがでた

メモはここで終わりである。
察しの良い人は既にお気付きであろうが、僕らは部屋を出て、話の続きを駅前のパフェですることに決めたのだ。

「カフェは嫌い…」彼女は口いっぱいにパフェをもごもごしながら話す。「でも、パフェはすき…」
そして、くくくっと笑う。
こんな時、彼女がこういう風に、自分の思いつきを笑う時、僕は絶対に笑わない。
彼女がこういう風に笑う時は、下を向いて身体を震わすから、僕はその時に彼女の揺れるつむじを見る。
つられて笑ってしまうよりも、僕はこうする主義なのだ。僕は笑わないけれど、その時すごく楽しい。

パフェを食べるのに飽きた彼女は背もたれにぐっと背を押し付け、天井を見上げる。
僕はいちごが全て食べ尽くされたパフェの残骸を食べながら、彼女のずんと伸びた喉元をぼーっと眺める。

「ねーえ…」
「ん??」
「…だとしたら、もし風船だとしたら、地球は割れますな…いつか…」

「…うん。やろうね。」僕はそう言って笑う。

彼女も、上を向いたまま、「相変わらずあんたはつめたい。」と笑った。



そういえば、昔の恋人に僕は、「あなたと居ると、永遠に冬が続くみたい」と言われたことがある。
あれは僕にとって、なかなか忘れ難い苦い思い出だけど、さっきの彼女の憎まれ口は、僕は明日には忘れてしまっているだろう。
僕にしてみれば、彼女は一日で通過する四季だ。



食後のコーヒーを飲む。
彼女は角砂糖を2つと、ミルクを注いでかき混ぜながら真剣な顔をして言う。
「…とはいえ、地震は非常にこわい。せっかくここまで来たし、ホームセンターに寄ってって、本棚用のつっぱり棒を買っとこう。ここらへんは活断層が多いから。」
僕がもの言いたげに彼女を見ると、「ワタクシ、センター試験では地学の点数、9割越えてますの」と、にやりと笑って立ち上がった。
彼女は僕がコーヒーを飲み終えるのも待ってくれない。

僕は彼女の意地悪なところが苦手だ。

まぁ、多少無理してブラックで飲むコーヒー程度だけど。
スポンサーサイト

comment

post a comment


管理者にだけ表示を許可する

trackback

プロフィール

ま★

Author:ま★
こんにちは。
ようこそおいでくださいました。

頭の中はとても愉快なやつです。
見た目はとっても冴えないですが。

更新は気まぐれになりそうですが、できるだけ頑張ります。

パーティーの招待状には、終わりの時間を書かないそうです。

しかしこのパーティーの本当に怖いのは、そもそも終わりの時間は永久に訪れそうにないこと。

ごゆっくり。

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。