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戦争の名前は、後からつけてあげよう。

身体を屈め、私は靴ひもの両端を思いっきり引っ張り上げ、しっかりと縛っている。

バスの座席は狭い。

その上酷く傷んでおり、もうココでも既に、私がさっき公民館で目にしたような惨事が起こったのだろうと思わせる。

靴ひもは上手く結べた試しが無いので、もうひきちぎってしまおうかとも考えたが、これから先どれくらいこのような暮らしが続くか解らない。まして新しい靴など手に入る保証も無い。それに”羅生門”よろしくな、追い剥ぎのようなことは(自分もどこまで追いつめられるか解らないが)したくない。
今、この状態で、私に”武器”と呼べそうなものなんてこの靴くらいのものだ。
大事にしておいたほうが良いだろうと思い直し、デタラメな蝶結びを靴のベロの中に押し込む。





これからは、毎回自己新記録更新速度で走らなくてはならない。





あの爺さんの息の根は絶対に私が止めてやる。あんなに憎らしいヤツ、今までに見た事無い。

こっちの集団の中でひときわ弱っていた女・子どもだけを狙って、あっち側の偉いヤツが使ったガスの残りで焼き殺したんだ。
あの瞬間まで、私の中にまでは、戦火は回っていなかった。
あいつが火を点けたんだ。

この地区の区長をやっていたあの爺さんが、その立場を利用して行政無線を使って私たちを公民館へ避難誘導させ、罠に嵌めた。

開戦の狼煙が突如として上がったとき、家族はみんな出掛けていて、私は家にひとりぼっちで、途方に暮れていたから判断能力が鈍っていたんだ。
そうでなければあんな解りやすい罠に嵌まるわけがない。
あの爺さんはあっち側の人間だということくらいすぐに見抜けたはずだ。
みんなだってそう。隙があったんだ。爺さんが一番それを解っていた。

先の大戦の記憶がこの時代にもう一度、こんなにも有利な強みになるなんて。

あの爺さんのウチの広いお座敷にも、従軍時代の勲章がいくつ飾ってあったっけ。
たしか床の間には日本刀があった。
このまま放っておけば、かつての”英雄”の血が、完全につけあがってしまう。

しかし、こっちの集団にもきっとかつての大戦を経験した叡智はいるはずだ。
実戦の進め方は彼らから教わろう。
これからはどんなことをしなきゃいけない状況になっても、きもい・グロい・こわい、なーんて言ってられないのだ。
それにこっちには守るべき弱者の数があっちに比べて圧倒的に多い。

今は家族に会えなくても、あのとき燃えて死んでいく人を見て思ったのだ。
彼らが最後に見ていたのは、私だった。
絶対に彼らのために生き抜く。
なんとしても。

抽象的な正義感なんかよりもずっと解り易い感情が、今この身を突き動かしている。



まだやったことないので確信は持てないが、これのためならひとも殺せる。



私はバスの座席の、布が破れてスポンジが飛び出している部分に手を突っ込み、そこからどんどん乱暴に、素早く、素手で出来るだけ解体をし、一番長い鉄の棒状の部品を選んで外に出る事にした。

今はこの街で怯えているひと全員が私の味方だ。私が守ってあげる。









…と、いう夢を見てたんだ!!!今朝、目が覚めるまで!!!

起きて随分経った今でも、あのフィクションの爺さんが憎くてしょうがないくらい鮮烈だった。

全く景気が悪いぜ。

おはよう。
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ま★

Author:ま★
こんにちは。
ようこそおいでくださいました。

頭の中はとても愉快なやつです。
見た目はとっても冴えないですが。

更新は気まぐれになりそうですが、できるだけ頑張ります。

パーティーの招待状には、終わりの時間を書かないそうです。

しかしこのパーティーの本当に怖いのは、そもそも終わりの時間は永久に訪れそうにないこと。

ごゆっくり。

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